本年度は、次の2点を行なった。 1.弾性表面波パワーを有効に利用した光偏光制御素子の提案 光多重通信のキーパーツである高効率な光チュウナブルフィルタを提案し、本研究の光学システムへの組込みを図った。X-Cut・LiNbO_3基板上にTa_2O_5薄膜を設けると弾性表面波パワーを有効に利用でき、しかも狭帯域な光選択が行なえることを理論計算と実験で明らかにした。帯域は約0.5MHzと光多重通信に利用可能である。さらに光波と弾性表面波のオーバーラップ面積を大きくするために、基板の厚さを波長と同程度にし、ラム波を励振すれば効率改善されることを計算によって示した。 2.リニア型高速熱処理法によるTa_2O_5単結晶薄膜作成 ニア型高速熱処理法を提案し、等方性基板(石英ガラス)上にも単結晶薄膜を作成できることを示した。従来、単結晶基板上にしか単結晶薄膜は成長しないとされていた常識を打ち破る成果である。これを利用して、Ta_2O_5単結晶薄膜の作成に成功した。得られたTa_2O_5薄膜は、大きな複屈折性(Δn=0.148)を示し、強弾性強誘電性薄膜であることから、光スイッチングやメモリー等の新機能性光素子に応用可能であることを示した。
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