研究概要 |
本研究費により得られた研究成果を列挙すると、 1.光弾性強調現象の発見:スパッタリング法による薄膜作成時にあらかじめ弾性表面波定在波を励起しておくと、光弾性定数,膜厚.屈折率などの物性が大きくなる。その結果、ブラッグ回折方式の光変調器の効率が約6倍に大きくなった。 2.弾性表面波アシストによる薄膜位相格子の作成方法の提案:弾性表面波定在波をあらかじめ基板上に励起させながら、薄膜を設けると、薄膜位相格子が容易に形成できる。膜厚の変化は約1.78% 屈折率変化は約12.5%と非常に大きい。弾性表面波の外部電界によって基板表面の誘電率が定在波の周期で変化し、それによって分子の付着力に違いが生じ,結果として膜厚と屈折率に空間的変化が生ずる. 3.2次元位相格子の作成と応用:直交する弾性表面波定在波を用いて、2次元位相格子の作成をおこなった。非常に正確に配置されたドットが形成され、理想的な格子が容易に形成できる。一つ一つは理想的な薄膜レンズになっておりウルトラマイクロレンズへの応用の可能性を得た。 4.弾性表面波パワーを有効に利用した光偏光制御素子の提案:高効率な光チュウナブルフィルタを提案した。帯域は約0.5MHzと光多重通信に利用可能である。さらに光波と弾性表面波のオーバーラップ面積を大きくするために、ラム波を励振すれば効率改善されることを計算によって示した。 5.リニア型高速熱処理法によるTa_2O_5単結晶薄膜作成:ニア型高速熱処理法を提案し、等方性基板(石英ガラス)上にも単結晶薄膜を作成できることを示した。これを利用して、Ta_2O_5単結晶薄膜の作成に成功した。得られたTa_2O_5薄膜は、大きな複屈折性(△n=0.148)を示し、強弾性強誘電性薄膜であることから、光スイッチングやメモリー等の新機能性光素子に応用可能であることを示した。
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