本年度実施計画のうち、不規則性の理論検討の前に、平坦成長から不規則積層量子ドット形成に移る遷移層厚の理論を導出した。これは、ポーランドワルシャワで開催のワークショップに招かれ、内容は、学術誌Thin Solid Filmに掲載予定にて、現在印刷中である。 超高真空対応操作型トンネル顕微鏡の改良に関しては、photoluminescence、chathodo-luminescenceいずれにも対応できる測定部を作製し、調整を行っている。 窒化物系に関しては、AlGaN/GaN超格子よりも、InGaN/GaNの量子井戸内で、量子構造が自然に形成されることを利用し、InGaN/GaN量子井戸の発光特性を調べ、低温成長により、より一層不規則性の高い試料の方が、発光効率の良い結果を得た。 本年度実施計画以外の研究実績として、量子細線に不規則性を導入した試料で、従来不規則成長格子で見られたのと同様の効果を示唆する結果を得た。本研究に関連した新しい課題として次年度において、より一層進めて行く予定である。 Ga_<0.52>In_<0.48>P/GaAs内で、自然形成される量子構造による光励起発光、時分解光励起発光の温度特性、励起光強度依存性を調べ、本半導体においても量子構造に不規則性の高い試料がより強く発光する結果を得た。 これらの実験結果は、本研究の不規則積層量子ドットの新光量子物性に、当初期待した結果を確信させるものである。
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