研究概要 |
標記研究課題に対して、以下の成果を得た。 1.半導体基板と格子定数が異なる半導体層のエピタキシアル成長において、量子ドットが自然形成し始める最大成長層を理論的に求めた。InAs/GaAs, InP/GaP, SiGe/Siに適用して、良き一致を見た。(Thin Solid Films) 2.InAs/GaAs量子ドット積層を成長させ、最適GaAs層厚を実験的に求め得た。(Journal of Electronic Materials) 3.他方,GaInP/GaAsにおけるGaInP(不規則配列と逆)の自然規則配列が、発光機能を増大させるとともに発光波長が、長波長に偏倚することを観測した。この物理的解釈は、本研究の意図する所の不規則積層量子ドットの考えにより説明され得る。(Journal of Applied Physics) 4.積層量子細線において、細線の線幅、線厚、線組成を不規則にした試料により、発光機能の増大、長波長化を実証した。(Applied Physics Letters) 5.InAs/GaAs量子ドットの高密度の形成には、成長技術的に格段の技術展開を必要とすることが分かった。しかしInGaN/GaN量子井戸層を低温で成長か、In組成を大きくした時に、量子ドット様のものが不規則に形成され、これが、発光機能の増大と共に長波長化が観測された。(International Conference on Physics of Semiconductorsに発表予定) 6.当初InAs/GaAsのStranski-Kurastanov(S-K)成長姿態による不規則積層量子ドットの新光量子物性の探索にあった。しかし不規則量子細線とその不規則による新光量子物性の実証、また組成が整数比に近い半導体、格子定数差の大きい半導体の組成ふらつきによっても実現可能であることを実証し、それらに対する知見を得たことは、本研究の成果である。今後は、成長技術の向上によりより一層の強い光量子物性を得ることができると考える。
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