本研究では、原子間力顕微鏡(AFM)を用いた単電子素子の製作技術を開発し、本素子の室温動作を実現するとともに、ケルビンプローブフォース顕微鏡(KFM)を用いた単電子トンネル(SET)の制御、検出を可能とすることを目的とする。 SET用材料としては、表面空乏層の問題が少ない金属SETを取り上げ、本年度はTiのAFM酸化による細線形成と、KFMを用いた電位測定を検討し、単電子トンネル検出の可能性を明らかにした。主要な結果は以下のとおりである。 (1) 単電子素子用材料として表面空乏層の問題が少ない金属SETを取り上げ、AFM酸化細線加工により、数10nmの細線形成が可能であることを示した。 (2) 微細な細線形成にとって重要な基板平坦化については、サファイア基板の空気中アニール(900℃)により原子レベルで平坦なテラスが実現できることを示した。 (3) 微細領域の電位検出に関しては、ケルビンプローブフォース顕微鏡(KFM)を用いたナノ領域の電位分布測定技術検討し、電位分解能10mV以下、空間分解能40nm程度を実現した。 (4) KFMをInAsドットに適用し、ドットに対応した電位分布が得られることを明らかにした。
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