研究概要 |
本研究は,水の同位体や二酸化炭素等,公害ガスの分子振動の基本モードに対応する光源として波長2-3μmの室温動作半導体レーザを実現のため,GaSbと格子整合するAlGaAsSb/InGaAsSb Type-I量子井戸およびInAs/InGaSb/AlSb Type-II超格子の作製を水冷式分子線エピタキシャル成長装置(MBE)を用いて行なう. 真空度改善のために試みたAl蒸発により、,残留不純物ガスであるO_2、H_2OおよびN_2が選択的に除去できた。変調ドープ構造によるノンドープGaAs層のホール測定からキャリヤ面密度4.5×10^<11>[cm^<-2>]に対し移動度5,000cm^2/Vs,背景不純物濃度が2.5×10^<16>[cm^<-3>]程度と他の報告例と比肩できる結果が得られた。In_<0.2>Ga_<0.8>As/GaAs歪量子井戸を作製し,室温において井戸幅に対応する波長のPL発光が得られた。これらは、水冷式MBE装置が半導体レーザのような高キャリア注入密度で動作するデバイスに使用できることを示す。 水冷式MBE装置を用いてType I構造In_<0.1>Ga_<0.9>As_<0.09>Sb_<0.91>/Al_<0.3>Ga_<0.7>As_<0.02>Sb_<0.98>単一量子井戸を作製し,Sb組成の制御のため,Sb以外の金属のFluxを設計値に固定し,SbのFluxを設計値近傍で変化させPhotoluminescence測定により最適値を決定した。 TypeII(InGaSb/InAs)_<4.5>/AlGaSb超格子の発振波長と波動函数の井戸幅による変化について理論計算を行なった.この設計に基き各層の作製条件をRHEEDパターンの観察から決定し,PLピーク波長として3.0μmを得た.この値は理論検討による比較から伝導帯の第1準位と価電子帯の第3準位による遷移が主であると考えられる。
|