研究概要 |
本年度は,聴取者の位置と頭部の運動を検出し,聴取者の動きに起因する音源から聴取者の耳元までの音響伝達系の動的変化に追従する音場再生システムを構築し,その再生精度について検討を行った.その結果,このような方式で聴取者の知覚する音場情報をモデル化したときの精度を,コンピュータ・シミュレーションを通して考察した.その結果,音源から聴取者の周りの空間への音響伝達系を,音の波長に比べて細かく観測すれば,十分な精度が得られることを確認した. また,聴取者の頭部の動きと音像の方向知覚との関係についても考察を行った.具体的には,聴取者の頭部の動きに対し,それによる音源から聴取者の耳元までの音響伝達系の変化をどの程度時間的に遅らせることができるかを求めた.その結果,100ms程度であれば,遅延を知覚しないことが明らかとなった. 上記の知見は,日本バーチャルリアリティ学会および日本音響学会の研究発表会などにおいて発表を行った.今後は,このような知見を基に,音場再生システムの最適化を図るとともに,人間の音場知覚モデルの構築を行う予定である.
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