研究概要 |
本研究の目的は,様々な無線アクセス技術のもとでモバイルアプリケーションを透過的に動作させるためのネットワーキングプラットフォームを確立することである.本年度は,昨年度の検討を推し進めるとともに,各種機能の改善,シミュレーション,プロトタイプの構築を行った. 無線インターネットワーキング技術の開発と実装 無線インターネットワーキング技術として,センサーネットワークにおけるルーテイングプロトコルの開発,ならびにアクセスリンクの帯域情報を用いたTCPフロー制御技術を開発した.前者に関しては昨年度開発したセンサーネットワークにおける多対一通信用プロトコルをさらに改良し,シミュレーションを行うことにより,より少ない制御パケットでルートを構築することが可能であることを明らかにした.また,後者に関してはアクセスネットワークなどの帯域占有型リンクにおいてTCPのスループットを向上させるためのフロー制御技術を開発し,無線LANを用いて実装を行い,TCPよりも高スループットが得られることや,ボトルネックリンクにおけるルータ・基地局内のバッファが少ない状態でもTCPとは異なり高いスループットを維持できることを示した. アプリケーションサポートサービスの開発とテストベッドネットワークの構築 アプリケーションサポートサービスとして,昨年度開発したスポット型ネットワークにおけるプロアクティブデータ転送に関してサービスアーキテクチャの検討とプロトタイプの作成を行った.具体的には,サービスを提供する上でのアーキテクチャの検討を行い,昨年度構築したPHSと無線LANから構成される基本的なテストベッドネットワークにサービス提供用の複数のサーバを設置した.さらに,アクセスリンクの帯域を考慮したフロー制御技術を本ネットワークに実装することでプロトタイプの拡充を行った.
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