研究概要 |
本研究の最終年度となる今年度は以下のような研究を行った. 1.誤り訂正符号を統合した非線形マルチューザ型干渉キャンセラに関する検討を進めた.具体的には,非常に高い誤り訂正能力をもつターボ符号とレプリカ減算型干渉キャンセラの統合を検討し,その性能を計算機シミュレーションにより評価した.その結果,提案方式は,伝搬路推定が理想的に行われるという仮定の下で,従来方式よりも優れた特性をもつことを確認した. 2.アダプティブアレーアンテナと干渉キャンセラは共に優れた他局干渉抑圧能力をもつことが知られている.我々は,昨年度までに,アダプティブアレーアンテナとレプリカ減算型干渉キャンセラを統合した方式を提案し,その特性評価を行ってきたが,今年度はさらに計算量を削減する方式を提案し,その特性を評価した.その結果,新たな提案方式は,計算量の削減にもかかわらず,これまで以上の優れた特性をもつことを確認した. 3.以上の研究における特性評価については,CDMAのユーザ収容限界状況においても計算機シミュレーションを実施したので,それらについては,並列計算機を利用してシミュレーションの高速化を実現した. 4.昨年度までに提案した移動する利用者の追跡が不可能な利用者認証方式について,更なる安全性の解析を行い,形式的な定義に基づく数学的な証明を行った. 5.これまでに得られた研究成果の主要なものについては,後の研究発表の項にも示す通り,3つの国際会議で発表を行った.また,研究成果の取りまとめを行い,研究成果報告書を作成した.
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