研究課題/領域番号 |
10450156
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
星宮 望 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50005394)
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研究分担者 |
加納 慎一郎 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (00282103)
渡邉 高志 東北大学, 大学院・工学研究科, 講師 (90250696)
二見 亮弘 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20156938)
半田 康延 未来科学技術共同研究センター, 教授 (00111790)
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キーワード | 機能的電気刺激 / カフ電極 / 弁別処理 / 多変量解析 / 神経活動電位の分類 / 階層的クラスター分析 |
研究概要 |
本研究では神経信号をセンサ情報として利用した閉ループ機能的電気刺激システムの構築を目的として、生体親和性と耐食性に優れた低雑音電極の開発や神経情報を取得するための時系列データの解析方法について検討してきた。今年度は、神経束から計測した神経インパルス列の弁別処理法の研究と、末梢神経のモデルの構築を行い、以下の成果を得た。 1.神経インパルスの弁別には、初めに計測データの中から神経インパルスを検出する必要があるが、臨床応用を念頭において神経線維に対する侵襲の低いカフ電極を記録電極に用いると計測信号のS/Nが低く、検出が困難な場合が多々ある。そこで検出方法として計測信号をウェーブレット変換により分解し、神経インパルスの波形情報を有する展開係数のみを用いて時系列データを再構成することを提案し、検討を行った。その結果、神経インパルスの観察が困難な計測信号からも検出が可能となり、本手法の有効性を確認した。 2.提案した解析手法の評価を行う場合、モデルなどにより作成したデータは解析結果が既知であることと、様々な条件を容易に設定可能であることの2点において計測データよりも有利である。そこで神経活動電位を発生する末梢神経のモデルを構築した。モデルの構造は神経束の中に有髄神経線維が一本だけ存在しているものとし、膜電位の変化はFH方程式により記述し、神経インパルスの伝導はケーブル解析により計算した。このモデルを用いてこれまで提案してきた解析手法の評価を行ったところ、従来法と比べて有効であることが定量的に示された。また作成したモデルを用いて検討を行ったところ、直径や細胞膜の性質が類似した神経線維が神経束の中で近接して存在していても、ランビエノードと記録電極の位置関係が異なれば、記録波形に着目することでそれらの神経線維の活動を識別できることを確認した。
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