| 研究概要 |
本研究では,アレイ観測記録の解析方法の開発,解析結果の検討,設計への応用として,(1)アレイ観測記録の解析方法の開発,(2)時空間波動特性の検討,(3)設計用の時空間入力波形の提案を目的とした.
(1) アレイ観測記録を用いた波動の伝播状況の推定手法の開発・改良
複数地点で観測された地震波形から,波動の反射・透過などがどのように行われているかを推定した.
時間領域の解析だけでなく,周波数領域での解析手法を開発し,従来の方法と比較して,精度や安定性などの長所短所を明らかにした.得られた結果を第11回ヨーロッパ地震工学会議で発表した。
(2) 時空間波形の特性と地震および地盤条件との関係
時空間波形の特性とは,クロススペクトル,相互相関関数,周波数-波数スペクトル,コヒーレンシーなどで表される.まず,埼玉大学内に設置されているアレイ観測システムを本研究で拡充した.こうして得られる記録に加え,従来公開されているアレイ観測のデータベースに基づき,地震波動の見かけ速度,コヒーレンシーの値の分布などを調べた.地盤の種別,波動の種類,振動の方向などの関数として,クロススペクトル,相互相関関数などを算定した.この研究は確率統計的な要素が強いため,多数の地盤,地震で検討を重ね,(1)で得られる波動の伝播状況と対応づけた.また,地中構造物の設計に関する問題点との関連の下で地震外力を明らかにした.
(3) 条件付き時空間波形のシミュレーション方法の開発,改良
現在までに提案されている時空間波形の推定手法を比較検討し,方法の改良,新たな開発を行った.これまでに展開した理論を,実際の複雑な現象に適用できるようにするため,理論をより現実に即した形に拡張した.
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