研究分担者 |
二瓶 泰雄 東京工業大学, 大学院・情報理工学研究科, 助手 (60262268)
日向 博文 東京工業大学, 工学部, 助手 (70272680)
八木 宏 東京工業大学, 工学部, 助教授 (80201820)
足立 久美子 水産庁, 水産工学研究所・水産土木工学部, 主任研究官
岡安 章夫 横浜国立大学, 大学院工学研究科, 助教授 (20213994)
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研究概要 |
(1)鹿島灘沿岸域関係: 一昨年の8月下旬から約1ヶ月間行った鹿島灘広域観測データの解析を引き続き行い,特に8月末に発生した那珂川からの大出水時における広域沿岸水挙動やその力学過程に関する詳細な検討を行った.また対応する広域3次元数値計算を試み,流動場の基本的な特徴の再現に成功したが,併せて,外洋影響の取り込みが今後の精度向上のうえで重要となることが示された.さらに,成層期におけるCoastal Buffer Zone の流れと物質移動の実態を把握するために,やはり鹿島灘において,昨年の8月から9月にかけて,(1)係留ブイ(沿岸方向距離約 100km,距岸25kmの海域に11カ所設置)による流動・水温・塩分・クロロフィルa量の長期連続計測,(2)観測船を用いた流動・栄養塩・動植物プランクトンの空間構造精密計測,(3)超音波ドップラー流速計を用いた海底境界層精密計測を実施した.その結果,黒潮水塊の沿岸波及に伴う沿岸水環境の変化や,大陸灘縁辺部周辺でのビーム状の内部潮汐波の発生とその後の大陸灘縁辺部での伝播過程における水深変化に伴うボアー状波動への変形・減衰プロセスなどを明らかにした. (2)沖縄サンゴ礁海域関係: 昨年度実施した石垣島白保海岸での観測成果を踏まえて,沖縄本島西岸域や慶良間諸島を含む3つのリーフ(サンゴ礁)海域での集中観測を行うことにより,異なる陸域及び外洋影響の違いのもとでのリーフ内水環境特性の違いについて明らかにした.また,衛星画像や沖縄沿岸多点水温計データ,数値シミュレーションの解析結果から,黒潮水塊の波及形態の差により,沖縄本島西岸(特に残波岬以北)に比べて慶良間諸島海域では,海水温が相対的に低くなりやすいことが明らかとなった.さらに,HFレーダによる広域表層流動観測やGPS搭載型アルゴスブイによる広域ラグランジュ観測によって,これらの海域をカバーする広域の海水表層流動構造を把握するとともに,それによるサンゴ幼生の広域輸送過程を明らかにした.また,これらに対応する広域海水流動・物質輸送シミュレーションを行うことに成功した.
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