研究分担者 |
宝 馨 京都大学, 防災研究所, 教授 (80144327)
伏見 碩二 滋賀県立大学, 環境科学部, 教授 (10109358)
植田 洋匡 京都大学, 防災研究所, 教授 (70026186)
友村 光秀 (財)日本気象協会首都圏本部調査部, 応用気象課, 課長
大石 哲 京都大学, 防災研究所, 助手 (30252521)
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研究概要 |
わが国でも春先の融雪期にアシッドショックなる酸性度の低い流出水が観測されつつあることを考え,冬季の酸性雪,とりわけ琵琶湖北部域でのそれに焦点をあてて,以下の研究を行ってきた.まず,化学反応を含む酸性雪の輸送・反応・沈着過程をモデル化するとともに,長距離輸送され到達した酸性雪が降水の微物理過程モデルを介して降下するモデルを作成し,そこでの降水の水質観測からこれらモデルの検証をはかった.また,この酸性雪が降下してからの流出諸過程,すなわち降雪・積雪・融雪・浸透・流出過程の水量・水質観測とモデル化をおこない,観測データとあわせ解析を行った.具体的な研究結果を以下に示す. 1.酸性雪数値モデルの開発: 大石らの開発した詳細な雲物理過程を含んだ雲物理モデルに琵琶湖北部域の二次元斜面地形を組み入れて大気水象場を形成し,さらにRutlegeらの開発したSo^<2->_4,No^-_3の生成・沈着モデルを一部改良して診断的に,すなわち化学物質の輸送過程を考慮しない形で結合した結果,So^<2->_4,No^-_3の混合比が観測値に比べて幾分大きな値を示した.そこで,化学物質の輸送過程なども予報変数に組み込んでプログノスティックに化学物質の移動・輸送・生成・沈着過程をモデル化しなくていけないという結論に達し,モデル化を行った.本モデルは降水粒子の分布をも計算できるモデルと化学物質の降水粒子への沈着を考慮した世界で最も現象に忠実なモデルである. 2.酸性雪の流出諸過程のモデル化とその流域規模への拡張: 酸性雪の流出諸過程をモデル化するにあたって流域面積約5.4Km^2の小流域における連続あるいは集中観測によるデータ取得をはかるとともに,水量・水質個々のモデルとその結合,さらには多層メッシュモデルによる面的拡張を展開することによって,融雪水量の日内変動,融雪時のアシッドショックによる河川水PHの低下,河川水PHの日内変動をかなり再現できることが見い出された.
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