研究概要 |
平成10年度においては,主として本研究を遂行するにあたっての基礎的検討を行うことを目的とし,既存の文献を調査した.また,ITS技術導入による環境保全効果についての分析を進めた. 1) 【環境保全効果の定量化に関する検討】 環境保全効果についてどのような定量手法があるかを整理し,交通計画問題に対してどのような手法が望ましいかを文献調査等を通じて考察した.さらに,交通のマクロ指標と,環境項目との関連性の考察が必要となる.つまり,例えばリンク交通量やリンク所要時間とCO_2排出量との関連性の小型車・大型車別の考察,低公害車両普及による環境改善効果などを分析した. 2) 【経路誘導,出発時間調整などの推奨による道路利用者の対応行動に関する研究】 詳細な交通情報提供と交通誘導情報が与えられた際のドライバーの出発時間調整行動,利用機関選択を分析した.ユーザーに有効な提供情報や経路誘導情報提供下におけるドライバーの情報依存率や,その際の出発時間,交通機関,経路選択などを明らかにし,それぞれを表現する交通行動モデルの構築を試みた. 3) 【情報提供下における道路交通流の変化に関するシミュレーション分析】 動的交通流シミュレーションモデルを利用して,様々な交通情報提供を実施しその際の道路交通状況がどのように変化するかを分析した.この際に,環境評価項目と,マクロな交通指標の関連性を加味し,アウトプットとして環境改善効果を出力するようにシミュレーションモデルを改良した.上記の情報提供下における交通行動モデルを利用し,各ドライバーの社会経済的指標や交通目的,目的地などをインプットとして,交通状況と環境指標をアウトプットとし,その結果より考察を加えた.
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