研究分担者 |
水落 元之 独立行政法人国立環境研究所, 循環型社会形成推進, 廃棄物研究センター・主任研究員 (50260188)
稲森 悠平 独立行政法人国立環境研究所, 循環型社会形成推進, 廃棄物研究センター・室長 (10142093)
山田 一裕 東北大学, 大学院・工学研究科, 講師 (30250723)
坂巻 隆史 日本学術振興会, 特別研究員
徐 開欽 独立行政法人国立環境研究所, 東アジア流域圏環境管理プロジェクトグループ, 主任研究員 (20250722)
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研究概要 |
近年,干潟生態系の有する水質浄化,生物生産,親水など様々な機能が着目され,その保全や創出が試みられるようになってきた。しかし,確実に干潟を保全・創出し,生態系を持続的に維持する手法は確立されていない。本研究では干潟における底質の有機物含有量の短期的および長期的変動特性に着目して,実際の干潟における有機物の動態を現場調査により明らかにし,有機物含有量の維持機構を解析した. 結果は以下のようにまとめられる。 (1)砂質および泥質干潟において有機物の長期的な動態を調査し,砂質干潟では増減を繰り返しながらある一定の幅で有機物含有量が維持されること,泥質干潟ではほぼ一定の値で推移しながらも,突発的な有機物含有量の上昇・低下も認められ,その前後で有機物含有量が変化する現象が観察された. (2)河口干潟の有機物含有量の変動に対しては,洪水による流量増加,高い波浪の影響等は特に認められない.砂質干潟ではイベント的な洪水・高波というより平常時の水理環境において変動が起こっていること,泥質干潟ではイベント的な洪水によって大量に高濃度有機物が堆積する場合があり,それが有機物含有量に大きな影響を及ぼすことが明らかになった. (3)泥質干潟の有機物含有量の維持機構は,平常時には有機物が流出し,洪水等によって引き起こされるイベント的な有機物の堆積によって有機物が流入し,全体として高い有機物含有量を維持すると考えられた.砂質干潟の有機物含有量の維持機構は,平常時には有機物が流入し,比較的頻繁に起こる程度の高波等の影響で有機物が流出し,全体として低い有機物含有量を維持すると推測された.
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