梁端接合部の脆性的な破壊現象を接合ディテールと鋼材の破壊靭性値との関連に於いて解明するために、本年度はフィレット部のVノッチシャルピー吸収エネルギが0℃で155ジユールと鋼材の破壊靭性値が比較的高い490N/mm^2級鋼の圧延H形鋼(H-500×200×13×24)を梁に用いた十字形柱梁接合部試験体の構造実験を実施した。試験体は昨年度と同様に柱にBCP325の冷間成形角形鋼管□-450×450×25を用いた2体と柱に490N/mm^2級鋼の溶接組立H形断面H-450×450×25×25を用いた2体で、それぞれ梁端接合部のディテールを実験変数としている。 三次元弾塑性有限要素解析法により両年度に亙り実施した試験体各部のひずみ分布を解析し、各試験体の破壊形態とひずみ分布の解析結果及び材料の破壊靭性値との関連を分析した。また、梁端接合部の塑性変形能力は梁材の降伏比の影響を強く受けることをCDC解析により解明した。 さらに、昨年度に実施した破壊靭性植が低い圧延H形鋼を梁に用いた4体の十字形柱梁接合部実験の結果で破壊した側の梁端接合部を水平ハンチ形式により、また破壊しなかった側の梁端接合部を鉛直ハンチ形式により補修した。なお、補修作業は現場での施工条件を再現する形で行っている。また、補修された梁端接合部の破壊形態及び構造性能をそれぞれト字形柱梁接合部試験体として構造実験を実施することにより調査し、その調査結果より水平ハンチ形式及び鉛直ハンチ形式による梁端接合部の補修効果を検証する解析モデルの作成について検討を進めている。
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