平成12年度は昨年度に実施した鋼材の破壊靭性値が比較的高い490N/mm^2級鋼の圧延H形鋼(H-500×200×13×24)を梁に用い、柱がBCP325の冷間成形角形鋼管□-450×450×25又は鋼材の破壊靭性値が比較的高い490N/mm^2級鋼板による溶接組立H形断面H-450×450×25×25を用いた十字形柱梁接合部の初期載荷実験で脆性破断を起こした柱梁接合部を補修・補強して再載荷実験を行った。再載荷実験は柱が角形鋼管の場合は破断した梁フランジ側を水平ハンチ補修した上で残りの梁フランジ側を鉛直ハンチ補強した2体、柱がH形断面の場合は破断した梁フランジ側を水平ハンチ補修した上で残りの梁フランジ側を三角スチフナで水平ハンチ補強した2体についてト字形柱梁接合部の正負繰返し載荷実験を行った。 平成11年度に実施した鋼材の破壊靭性値が比較的低い490N/mm^2級鋼の圧延H形鋼(H-500×200×13×24)を梁に用いた初期載荷実験で破断を起こした柱梁接合部を同様に補修・補強したト字形柱梁接合部8体(角形鋼管柱:4体、H形断面柱:4体)の実験結果と併せて、補修・補強した柱梁接合部の応力伝達機構を考慮して、柱梁接合部の最大耐力評価方法を提案した。 鋼材の破壊靭性値が比較的高い場合は、補修・補強した柱梁接合部の最大耐力は提案した評価方法により比較的精度良く評価でき、柱梁接合部の塑性変形能力は十分なものであった。これに対して、鋼材の破壊靭性値が低い場合は、試験体の多くは柱梁接合部が早期に脆性破壊を起こして、塑性変形能力は乏しいものであった。これ等の実験研究により、柱梁接合部の補修・補強に際して、使用された鋼材の破壊靭性値を考慮する必要があること、鋼材の破壊靭性値が低い場合は梁端接合部の最大耐力の評価値が梁断面の全塑性モーメントに対して耐力余裕度を大きくするよう補強設計をする必要があることが判明した。
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