平成10年度は、曲げひび割れを種々の位置で人為的に生じさせる実験を行った。具体的には、横補強筋のない重ね継手の試験体を作成し、ポリエチレンシ一トを用いて様々な箇所に曲げひび割れを生じさせ、継手の強度に及ぼす影響を調べた。試験体は、半数を純曲げとし、残りの半数にはモーメント勾配を与えた。試験体の載荷に関しては現有設備を使用した。 この実験では、一昨年と同じく、最大変形時に低粘性のエポキシ樹脂を注入し、試験体を切断して内部の破壊状況を調べた。試験体切断は、ダイヤモンドソーを所有する業者に委託した。ブラックライトを用いた撮影によって、詳細な破壊状況が観測できた。 さらに、細部のひび割れ状況を調べるためにCTスキャンも行った。コンクリートとエポキシ樹脂とではX線の透過率が相当異なるので、0.3mm程度のひび割れまでは観測可能の見通しであった。CTスキャンは、アルミニウム鋳造製品の欠陥検査などを専門にしている業者に委託した。しかし、残念ながら測定精度が思ったより悪く、十分な結果は得られなかった。
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