研究概要 |
東京都のお台場(海岸地帯),越中島(市街地),南千住(高密度住宅地)の3地点において,ドップラソーダを用いた強風観測を継続実施した。並行して,ドップラソーダによる観測データの高度補正手法について検討し,過去の高浜台-南町田間,高浜台-平塚市内の観測データについても再検討し,平均風速,平均風向,鉛直成分などの時空間分布を整理した。10月以降は,お台場のドップラソーダを神奈川県厚木市に移し,強風時の観測を継続した。風速の乱れの強さの観測評価手法に関しても実験的に検討した。 また,観測地点間を幾何学的に模擬した模型粗度上の気流に関する風洞実験を都市基盤整備公団所有の風洞を借用して行い,昨年度実施した東京工芸大学所有の小風洞による高浜台-平塚市内間の1/1000スケール物理モデルによる風洞実験結果と比較検討した。また,お台場-越中島-南千住間12kmの1/1000スケール物理モデルを作成し,風洞による気流実験を実施した。 平行して,お台場-越中島-南千住間の建物情報データベースから,建物による地表面の凹凸に関する数値モデルをコンピュータ内に再現し,流体解析コード(k-εモデル)を用いて数値解析を行い,平均風速および乱れの空間分布を検討した。これらの結果と実測結果を比較し,風洞実験手法や数値解析手法の妥当性および適用限界を検討した。 昨年度までに得られた資料も含めて,ドップラソーダによる実測結果,風洞実験結果,数値解析結果を総合的に評価し,地表面付近から上空500m程度までの強風の構造を明らかにした。以上,地表面粗度に応じた設計風速の評価手法に関する有益な知見が得られた。
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