研究概要 |
本年度は最終年度であることから、これまでの研究成果のまとめの作業を行なうとともに、将来の都市エネルギーシステムのグランドデザインへ向けた基礎的な研究を行なった。 具体的には、まず、「地球環境時代の公共性」の視点からCO2排出削減量を指標に取り、日本全国の導入可能地区に広域熱供給ネットワークシステムを導入した場合の効果を検討した。その結果、広域熱供給システムを導入することにより,31,544.7Tcal/年(132,071.4TJ/年),都市ガス換算で2,867,704千Nm^3/年,石油換算で341万klの省エネルギーが可能で,CO_2は184万t-c/年削減が可能ということが明らかになった。CO_2184万t-c/年削減は,1997年12月のCOP京都会議で決定した目標値「1990年レベルの6%削減」に対して,1997年時点での削減目標値基準では,寄与率は約4.1%となることがわかった。 次に、東京都区部を取り上げて、地域のエネルギー特性や排熱源との距離から、技術開発が進む分散型エネルギーシステム(コージェネレーション)と、都市排熱を活用した広域熱供給ネットワークシステムを比較を省エネルギーを指標にして、地図上で大まかな色分けを行なった。業務・商業用途建物の密集した地域ではコージェネレーションシステムが省エネルギー的であるが、それ以外の地域では都市排熱を活用した方が省エネルギー的であることが分った。しかし、このときに排熱源の熱供給能力に応じて排熱を利用できる限界距離がある事も明らかにした。
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