本年度は非営利活動の先進地である英国のグラウンドワーク活動に着目し、文献調査を通じてグラウンドワークトラストが行う環境改善のための諸プロジェクトの類型、およびグラウンドワーク活動が成立する社会的背景とトラスト立地地域の環境条件、の2点について分析を行った。 グラウンドワークのプロジェクトは、1980年代当初のアーバンフリンジの環境改善から広い意味での環境問題全般へ多角的にアプローチする方向へと展開している。近年においては、プロジェクトはそのねらいから大きく4つに分類することができた。(1)悪化した居住環境の再生、(2)地域経済振興と環境保全の調和、(3)地域のコミュニティの社会参加促進と環境教育、(4)自然的・歴史的・産業的資源の保全と地域活性化、である。 他方、グラウンドワーク活動が成立する社会的背景の検討のために、トラストが立地する地域の環境条件を地形図から分析し、トラスト立地の立地に関して都市と農村、水面の有無という2つの比較軸を見出した。すなわち、グラウンドワークトラストは都市型、都市水面型、郊外型、農村型、農村水面型の5つに分類できた。さらに、都市部においては悪化した居住環境の再生やコミュニティの社会参加促進、農村部では自然を利用した活動の促進による活性化、などトラストが主として取り組むプロジェクトはその立地条件に大きく規定されていることを明らかにした。 研究成果は建築学会、農村計画学会等で口頭発表を行った。
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