日本および英国における非営利団体による環境改善活動に関して、典型事例を抽出した上で現地調査を実施して情報収集を行い実態把握を行った。それととともに、現在進行中のプロジェクトをとりあげ、1年間にわたってその活動のプロセスを追跡調査した。これらにもとづき、我が国と英国との非営利団体による環境改善活動の比較分析を試み、我が国における活動展開のための課題を整理した。 国内においては、非営利団体を便宜的にコミュニティ型、アソシエーション型、およびその複合型(広域型)の3つに区分して8団体を取りあげた。これらは団体の活動範域から、地区型、市町村型、広域型に、また地区・市町村型については、さらに既成市街地型、郊外(混住地域)型、農村型に分けることが出来た。英国においてはグラウンドワーク活動を展開している3つのトラスト(市街地型、郊外型および農村型)を取り上げ、そこで展開されている活動内容、企業や行政との連携手法について分析・検討を行った。 活動プロセスの追跡調査は、千葉県船橋市の「遊休農地を活用したコミュニティ・ガーデンづくり」と栃木県栃木市の「蔵を生かしたまちづくり」の2つを事例に、まちづくりのプロセスと各団体の役割の追跡調査を行い、まちづくりの現場において非営利団体の果たす役割並びに行政との関係について、企業を含めた各セクターのパートナーシップとその推移について明らかにした。 非営利団体・行政諸機関のパートナーシップ形成プロセス、プロジェクトの問題点と課題、地域的課題とプロジェクトの関係、について結論づけをおこなった。総じて、我が国における幅広い専門性と総合的視野をもった団体の必要性と、そうした団体が企業や行政とパートナーシップを構築できる社会的仕組みの必要性が指摘できた。
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