研究課題/領域番号 |
10450220
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
吉村 英祐 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (50167011)
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研究分担者 |
飯田 匡 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助手 (40335378)
横田 隆司 大阪大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20182694)
柏原 士郎 大阪大学, 大学院・工学研究科, 教授 (70029164)
阪田 弘一 京都工芸繊維大学, 工芸学部, 助教授 (30252597)
曽根 陽子 日本大学, 生産工学部, 教授 (90171389)
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キーワード | 長寿命設計 / 維持管理 / 履歴 / 戦後建築 / リニューアル |
研究概要 |
戦後の有名建築の支献調査と,大阪府下のBCS賞受賞建築,大阪府下の公共施設(会館・劇場、展示施設、図書館、体育施設)の施設管理者に維持管理作業状況、維持管理上の問題点、これまでの補修・改修状況、設計者とのつながり、使い勝手等についてヒアリング調査を行った。その結果,以下のことが明らかになった。 (1)今回対象とした事例はいわゆる有名建築が多く、維持管理状態は一般的な建築に比べて良いものが多いと推定されるが、そのような建築でも、竣工後様々な維持管理上の問題が発生している。 (2)竣工後発生する問題点は、建築の運用開始と同時に発生する問題点と、時間の経過に従い発生する問題点とに分けられる。時間の経過に従い発生する問題点としては、a.老朽化による機能の低下 b.保全作業が困難 c.維持管理費の増大 d.運用状態の変化による問題 e.杜会環境の変化による問題がある。 (3)上記の問題点を設計段階の配慮によって改善するためには、(1)耐久性(aに対して)(2)保全容易性(bに対して)(3)経済性(cに対して)(4)柔軟性(d, eに対して)を考慮して設計する必要がある。 (4)建築が長く機能し続けるためには、管理側の体制も重要である。時問経過に伴い、竣工後10年から30年で建築各部の老朽化が顕著となるので、それに対して計画的な保全を行っていくことが求められる。 (5)今回の対象事例とした有名建築やBCS賞受賞建築の中には、デザインの良さが管理者の意識を高め、良好な状態を維持する結果につながっている事例が見られたことも注目すべきである。 (6)建築の経年経過を示す資料はまだ少なく、今後このようなデータを充実させていくことが必要である。管理時にその維持管理履歴を残し、さらにその後の保全計画へ活かすことが建築の長寿命化につながる。
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