研究概要 |
昨年の総合評価により材料の降伏点が塑性変形能力に大きく影響することが分かったので,本年度は降伏点1.0t/cm^2程度の極低降伏点鋼管を端部管に用いた単管FLD部材の実験を行い単調載荷時及び繰り返し載荷時の塑性変形能力について検討した.単管FLD部材の外観デザインは,前年度の検討で一応の評価を得ているので本年も同形状を踏襲した.試験体は,端部管にΦ190.7x12の鋼管を使用,単調載荷3体,繰り返し載荷8体の実大実験を行った.本年度は,塑性変形能力の向上のため端部管の曲がりを拘束する芯金を挿入した改良タイプ(芯金:端部のクレビスと一体化し,中間管にその直径程度嵌合する部材)を新たに追加した.また,実験と平行してNIKE-3D,DYNA-3Dによる解析を行い,実験値と比較した.以上のような実験的,解析的検討により以下のような知見を得た. 1.昨年度と同じ端部管長さに対して,大幅な塑性変形能力の改善が図られた.最大荷重時の変位は,単調載荷で最大1.8倍,繰り返し載荷で最大1.3倍となった. 2.芯金補強した試験体では,特に繰り返し載荷時での塑性変形能力が大きく改善され,昨年度の結果の1.8倍,本年度の結果に比較しても1.4倍となった. 3.解析値は,単調載荷時及び繰り返し載荷時の変形挙動を概ねよく追跡しており,今度は解析によるシミュレーション結果を用いて部材の性能評価が可能となった.
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