研究概要 |
2年度間の研究概要とその成果の主なものは以下の通りである. 1.全国の医療・福祉施設におけるリハビリテーション部門の施設現況,運営実態を把握するために以下の調査を実施し,類型的にその詳細を捉えた. リハビリテーション部門を持つ全国の医療・福祉施設全811施設に対して,施設構成,運営概要,入院・外来患者の構成,リハビリ部門の施設・設備,療法士の配属状況などの実態を把握するアンケート調査を実施した(郵送・有効回収率70%).これによって,全国の医療・福祉施設におけるリハビリ部門の施設・運営概要が明らかにし,且つ,リハビリ部門の施設・運営実態からみた医療・福祉施設の類型化を行った. 2.リハビリテーション専門病院の建築計画的考察を目的として,茨城県立医療大学病院をフィールドとして,次の3項目の詳細検査と分析を行った. 1)入院患者の各機能別日常生活動作能力の詳細や評価データ(FIMデータ)を収録し,これによって多様な機能障害を持つリハビリテーション患者の障害やADL能力からみた類型化について考察を行った. 2)最も代表的なリハ空間である運動療法室において,入院患者のリハビリ活動の実態,運動療法室の各訓練場所の利用実態を詳細に把握する観察調査を行った.これによって,各訓練場所の利用特性を明らかにすると共に,複雑・多様に見える患者のリハビリ活動パターンの類型を整理する分析を行った. 3)上記と同様の観点から,同病院の作業療法部門においてその利用実態を把握する調査を行った.訓練患者の行動パターン,作業療法士と患者の関係,作業療法士の作業領域の特性などについて分析を行い,作業療法室の建築計画上の要点も抽出した. 以上は,いずれも,日本建築学会計画系論文集,病院管理学会論文集に査読学術論文として投稿し,採用・公表された.これらによって,リハビリテーション専門病院の建築計画に体系的な知見を与えた. 3.特別養護老人ホーム,老人保健施設などの高齢者福祉施設において、入所者の共用空間における生活実態を詳細に把握する調査を繰り返し,入所者相互の交流活動や共同又は単独で行われる生活的リハビリ活動の内容を分析した.これによって,回復期・維持期におけるリハビリテーションの在り方とその空間の対応関係について見解を整理した.
|