加齢黄変化視界による住空間の色彩誤認を矯正する青系透明薄膜の画像処理による開発

1999 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10450225
• 研究機関: 実践女子大学
• 研究代表者: 吉田 あこ 実践女子大学, 生活科学部・生活環境学科, 教授 (10210676)
• キーワード: 高齢者 / 加齢黄変化 / 白内障 / 青透明薄膜 / 住空間 / 色彩変化 / 加齢黄変化レベル / 黄変化矯正薄膜

研究概要

研究目的:高齢者の家庭内事故死数は一層増加しているが、その因の一つに加齢に伴う眼球水晶体の白内膜化による黄変化で色彩誤認が起こり、これが空間把握を誤認し、事故を生む。そこで加齢黄変化視界そのものを一時的にでも矯正する眼鏡開発、つまり、黄色を中和するその補色にあたる青系の透明薄膜の選出が目標である。
研究実績;初年度は、高齢者の見えに関する実態調査(1993)から選定された加齢対応黄透明薄膜を打ち消す青透明薄膜をカラーチャート一万色より、青み組合せ441色をコンピュータのスキャナーで取り込み、441色の透明薄膜を出力した。これを加齢対応の黄透明薄膜を打ち消し、しかも明るさの減少の少ない青系透明薄膜をカラー輝度計で測定し、矯正候補を数種選定した。この矯正効果を高齢者実態調査で用いた21色のカラーチャートを対象に、黄変化後、それぞれ元の色系統に戻るか否かを、色差計で測定後、xy-色度図上で比較判定し、その結果、中度黄変化視界をかなり矯正しうる4種類の青系透明薄膜を選定した。本年度はこの薄膜の視界の暗さを補正するために、人間の眼を模したカメラに透明薄膜フィルターを装着させ絞りとシャッター速度で補正調整した。
さらに、試行対象として住宅屋内外の環境色を含む固有色名事典全色220の元の色への復帰状況を、元の色と中度黄変化色と本研究創出による矯正青透明薄膜使用で各色をカメラ撮りし、色度図並びに輝度率の比較で、元の色への復帰状況を比較検討し、かなりの矯正復帰効果を得た。
なお、これら研究成果を日本建築学会や日本生理人類学会・日本ロボット学会及び、人間工学国際会議に発表し、意見徴収を行ったが、今後は現場で試行を重ねる方針である。

研究成果

• [文献書誌] 桜庭晶子,吉田あこ,吉田マイ: "加齢黄変化視界の実態調査と青透明薄膜導入による黄変矯正の研究"人間一生活環境系論文集. 5.2. 25-34 (1998)
• [文献書誌] 吉田あこ: "高齢者と生活環境色"FUTURE 協和企画. .22. 14-15 (1998)
• [文献書誌] 吉田あこ: "高齢社会に普及して欲しい施設"体育施設. .344. 8-13 (1998)
• [文献書誌] 吉田あこ: "加齢に伴う視界黄変化と環境の誤認そして矯正の可能性"日本ロボット学会 学術講演論文集. 26-37 (1999)
• [文献書誌] 吉田あこ,石川智佳代,〓間智子: "加齢黄変化を考慮した介護制服色の色選定"実践女子大学生活科学部紀要. 36. 86-91 (1999)
• [文献書誌] 吉田あこ: "ケア住宅作戦一21世紀高齢社会に向けて一"日本生理人類学会誌. 4(1). 57-58 (1999)
• [文献書誌] 吉田あこ,吉田マイ: "カメラ調整による加齢中度黄変化視界矯正透明薄膜一色名小事典全色対象の研究一"日本建築学会大会学術講演梗概集. E-1. 759-760 (1999)
• [文献書誌] Clara Ako YOSHIDA: "Service Flats Planning for Aged Society in 21st Century"APPLED HUMAN SCIENCE Journal of Physiological Anthropology. 18.5. 189-189 (1999)
• [文献書誌] 吉田あこ: "ユニバーサルデザイン発想からの住まいづくり"一加齢の眼・耳の変化に対応して一生活起点 セゾン総合研究所. .17. 17-21 (1999)
• [文献書誌] 吉田あこ,吉田マイ: "加齢視界中度黄変化を矯正する透明薄膜の画像処理導入による研究"第23回人間一生活環境系シンポジュウム報告集. 196-199 (1999)
• [文献書誌] 岩田一明,吉田あこ: "人間行動認知評価技術"新エネルギー 産業技術総合開発機構 人間生活工学研究センター. 363 (1998)
• [文献書誌] 吉田あこ: "建築人間工学事典、"日本建築学会編 彰国社. 286 (1999)
• [文献書誌] 吉田あこ: "床材のユニバーサル・デザイン"TAJIMA. 209 (1999)