高山市三町伝建地区の100戸の住戸に設置した災害情報ネットワークを対象として、平成11年度に実施した操作盤の再設計・表示の変更をもとに、下記のアンケート及び実測調査を実施した。なお、本調査中に、本災害情報ネットワークが高齢者世帯で実際に発生した出火1件を覚知通報し、近隣住民による初期消火を実現するという本システム本来の目的に適う成果をあげ、本システムの有効性を当該地区住民に印象づけることになった。 (1)操作盤の再設計・表示の変更の効果の検証 アンケート調査により、災害情報ネットワークの各戸操作盤の表示方法の変更による誤操作・操作の混乱の低減効果を調査した。非火災報時の誤操作は、変更前に比べ顕著に減少したことが判明したが、操作の簡便化に伴って非火災報発報場所の記憶機能が停止されたため、非火災報の原因解明自体は困難になったこと等が問題点としてあげられた。 (2)非火災報の発生原因の分析 非火災報情報及びアンケート結果を分析した結果、熱感知器でも季節によっては非火災報が頻発するという高層建築等では見られない特質があることが判明した。この原因を解明するために非火災報が頻発する住戸の温熱環境実測を行い、小屋裏換気が不十分な場合、晴天時の日中に小屋浦に蓄積した高温空気が早朝の低温時に侵入する冷気で移動することが原因であること等を明らかにした。現代の戸建て住宅でも起こり得る現象であり、建物内温熱環境の安定化が非火災報発生防止上も必要なことを示している。 (3)操作性に対する環境条件の影響の分析 アンケートで誤操作の経験を報告した住戸について個別調査を行った結果、誤操作の発生は、操作盤の設置環境、特に明るさに影響されることが判明した。 (4)災害情報ネットワークのマンマシンインターフェイスの設計指針 以上の検討に基づき、災害情報ネットワークの基本回路及び操作盤のマンマシンインターフェイスの設計指針をとりまとめた。
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