(1)「助け合い型防災・安心ネットワーク」の操作運用に関する詳細調査 昨年度に要素装置を改造し、端末の表示・操作方法を改善した高山市三町伝統的建造物群保存地区のネットワークについて、改善の効果を把握し、生活実態に基づいた操作運用の方法論を誘導する目的で、改善後、約半年を経た段階と約1年を経た段階の2回にわたって、対象住戸のアンケート調査を実施した。また、この間、各戸受信機の出力信号モニタも実施した。この結果、非火災報発報時の対応については、改善前に比べて著しい前進がみられ、改善した表示・操作方法で、ほとんどの住戸で非火災報が発生しても他住戸への信号送達を予防できることが判明した。一方、改善によって操作方法は簡略化する際に、非火災報の発生箇所の記憶機能を犠牲にしたため、非火災報の発生原因の特定が困難になり、非火災報自体は以前より多発するようになった。この結果から、本研究で構想するネットワークでは、出火信号の発生箇所の記憶機能を、その表示と独立に確保するこてができれば、システムの円満な運用と信頼性の向上に大きく役立つという今後の開発指針が得られた。 (2)「防災・安心ネットワーク」における異状検出判断機能の設計と有効性調査 昨年度までの調査から、高齢世帯・単身世帯等では、急病等の際のネットワーク利用をためらったり、十分に操作できない傾向が高いことが推定された。これを補うために、火災感知器・手動信号以外に電力・住宅設備等の動作をモニタして、異状兆候を覚知するシステムを試作して、対象地区の一部住戸に設置し、その有効性を検討した。本システムの試用により、非火災報が発報する際には室内に特異な対流が生じている場合が多いことも明らかになり、本システムと出火信号のモニタと連動させることによって、非火災報の発報を抑制できる可能性が高いことも明らかになった。
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