研究課題/領域番号 |
10450227
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研究種目 |
基盤研究(B)
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
渡辺 仁史 早稲田大学, 理工学部, 教授 (40063804)
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研究分担者 |
佐野 友紀 名古屋市立大学, 芸術工学部, 助手 (70305556)
長澤 夏子 早稲田大学, 理工学部, 助手 (70308188)
山久瀬 健 早稲田大学, 理工学部, 助手 (10308215)
木村 謙 早稲田大学, 理工学総合研究センター, 助手 (10277824)
林田 和人 早稲田大学, 理工学総合研究センター, 助手 (10277759)
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キーワード | 音場 / 聴覚による認知 / 空間把握 / 可視化 / パーティクル・オブジェクト・モデル / 視覚障害者 / 駅 |
研究概要 |
文献調査から、現状で音楽ホール等以外の建築空間には音に対する計画の指針がほとんどないこと、その原因として各空間の機能に対して必要とされる音やその性質、音に対する認知構造やその利用などが明確になっていないためであることが分かった。 そこではじめに、日常的に音から空間を理解している「視覚障害者」に対してインタビューと、駅へのアプローチ空間での歩行経路の追跡調査を行った。駅の改札へ向かうという目的行動を行う視覚障害者の歩行経路は、大半は展示ブロック等の触覚的サインから決定されているようであるが、ところどころブロックから外れて歩行している箇所が見られ、またインタビューよりそれらの多くは音を手がかりに歩行していることが明らかになった。 そこで、三次元で空間の音がビジュアライズできるパーティクル・シミュレーションモデルをコンピューター上に作成して、これを用いて追跡調査を行った空間で視覚障害者が空間認識の手がかりとしている音とそれを妨げている音のシミュレーションを行った。その結果、歩行経路からはずれる箇所は、いずれもサイン音の直接音が聞こえるようになる、といった音の境界面であることが明らかになった。また、手がかりとなる音を妨げるような音や移動する音のシミュレーションでは、インタビューから明らかになったような、音のマスキングや危険信号としての音が表現された。 その過程で、パーティクル・シミュレーションモデルでは、それぞれの空間で必要となる音の性質をパーティクルの大きさや量、速度、減衰などのパラメータとして表現されるが、それらを決定するためには人間の音の認知による裏付けや基礎データの収集が必要であることが問題点としてあげられた。
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