研究課題/領域番号 |
10450229
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
長谷川 雅幸 東北大学, 金属材料研究所, 教授 (80005975)
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研究分担者 |
湯葢 邦夫 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (00302208)
唐 政 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (80271972)
永井 康介 東北大学, 金属材料研究所, 助手 (10302209)
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キーワード | 陽電子消滅 / 電子運動量分布 / 体心立方銅 / ナノ粒子 / フェルミ面 / 原子炉圧力容器鋼 / Fe-Cu合金 / Al-Cu-Mg合金 |
研究概要 |
陽電子消滅2次元角相関および半導体検出器を用いた同時計数ドップラーブロードニング(CDB)測定によって、陽電子の消滅相手となる電子の運動量分布を広い範囲にわたって調べ、以下の顕著な結果を得た。 (a)原子炉圧力容器鋼の有害不純物であるCuの効果を調べるためのFe-Cuモデル合金.中性子照射によって、Cu-空孔(V)の集合体がマイクロボイド(内壁がCu原子で覆われている)として形成されること、さらにこの集合体が高温で空孔を解離すると、Cuナノ粒子に変わること(Phys.Rev.B63(2001)印刷中)を見いだした。 (b)Fe中のBCC-Cuナノ粒子のフェルミ面.熱時効したFe-Cuモデル合金単結晶の2D-ACAR測定によって、Feマトリックス中のナノCu粒子(BCC-Cu)のフェルミ面を求めた。BCC-Cuのフェルミ面は、ほぼ球形であるが12ヶの(110)ブリルアン帯面の中心付近に突起を持つ構造であることが分かった。このようなナノ粒子のフェルミ面を求めたのは本研究が初めてである。 (c)Al-Cu-Mg合金の初期硬化に対する空孔-添加元素複合体.この合金系では急冷後、150℃1分の時効処理で急激に硬化することが良く知られているが、その機構は未だ不明であった。我々はCDB測定によって、焼き入れしたままの状態では空孔(V)とMgの複合体、1分の時効でV-Cu-Mg複合体が生ずること、時効初期硬化の原因はこのV-Mg-Cu複合体が転位線に沿って形成するためであることを明らかにした(Acta Mater.49(2001)911)。
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