(A)プラズマ環境中で作動する走査式トンネル顕微鏡/分光装置の開発 従来の装置を踏まえ、物性研究用のプラズマ環境中で作動する走査式トンネル顕微鏡/分光(プラズマSTM/STS)の開発を行った。特に、STS測定モードを新たに付け加えるため、プラズマからのプラズマポテンシャル、電流ノイズ対策もかねた、耐高圧低ノイズ用計測回路への変更を行うとともに、プラズマによるピエゾ系への影響(経時変化)の低減を目指し、ピエゾパートの構造を新たに設計した。その結果、プラズマ密度10^9/cm^3程度の平均的なプロセスプラズマにおいて吸時間オーダーで安定的(ノイズレベル0.1nA以下)にSTM動作可能な装置の開発に成功した。一方、同環境内でのプローブ位置安定性はプラズマなしの場合よりも1桁ほど悪く(1nm程度)、プラズマ環境でのSTS測定可能なレベルには残念ながら至っていない。 (B)プラズマ-材料固体表面ナノスケールその場観察 上記のプラズマSTM/STSを用い、HOPGおよびSrTiO_3の動的・静的ナノ構造解析/電子状態計測を行い、世界に先駆けてHOPG上でナノメーター構造のエッチング過程のその場観察に初めて成功した。この成功は従来ブラックボックスに近かった固体-プラズマ・ナノスケール界面研究に新たな扉を開くものである。
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