研究概要 |
本科学研究費受領の3年間に以下の7項目につき明らかにして論文として公表した。(1)シグマ-5結晶粒界近傍での変位カスケード損傷形成過程のシミュレーション,(2)高温で中性子照射した面心立方金属の転位近傍への格子間原子集合体の偏析機構,(3)高温で中性子照射した面心立方金属中転位の点欠陥シンク効率の照射量に対する変動,(4)高温で中性子照射した面心立方金属での転位の増殖機構,(5)高温で中性子照射した面心立方金属でのボイドと積層欠陥四面体の核形成機構とこれら集合体の成長機構,(6)高温での核分裂中性子照射中での損傷組織発達過程の原子レベル機構,(7)核融合中性子照射した面心立方金属での損傷組織発達過程の原子レベル機構。これらの内特にすぐれた成果は、高温で中性子照射した金属では変位カスケード芯の原子空孔が集合して積層欠陥四面体とボイドが形成する。実験よると積層欠陥四面体とボイドは同時に形成する。積層欠陥四面体に含まれている原子空孔数は200個以下であるに反して、ボイドに含まれている原子空孔数は500個以上である。分子動力学法コンピュータ・シミュレーション結果により、これらのカスケード損傷で形成する微小原子空孔集合体より単原子空孔が蒸発して他の集合体を成長させるのではなく、それらがstring-like構造に緩和した後にDamask-Dienes-Weizer構造の緩和機構を通じて原子空孔集合体を保ったままで移動することを明らかにした。:原子空孔数が200個以下である場合には(111)platelet集合体構造が最も安定であるために高温でも積層欠陥四面体に緩和する。集合体での空孔数が500個を超えると、等方的でない二次元の広い面状を保つことが困難になり三次元の球状を保つようになる。詳細な機構は多数の{111}面よりなる多面体を構成して原子空孔を連続的に吸収して次第にボイドヘ成長する。
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