研究課題/領域番号 |
10450236
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
金属物性
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研究機関 | 東京理科大学 |
研究代表者 |
竹内 伸 東京理科大学, 基礎工学部, 教授 (60013512)
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研究分担者 |
枝川 圭一 東京理科大学, 基礎工学部, 助教授 (20223654)
鈴木 敬愛 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (70013208)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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キーワード | 準結晶 / 塑性変形 / 転位 / フェイゾン歪み / パイエルス機構 |
研究概要 |
準結晶は高温で転位のすべり運動で塑性変形することが確立している。準結晶中の転位には弾性歪み場のほかに準結晶特有のフェイゾン歪み場を伴うために、そのすべりは結晶転位の場合と異なる。本研究では、準結晶中の転位のすべりの素課程を実験的に明かにして、準結晶の塑性変形の微視的機構を解明することを目的とする。ブリッジマン法およびフローティングメルト法で作成した単準結晶を高温で塑性変形し、熱活性化解析、転位の透過電子顕微鏡観察を行った。得られた主な結果は以下の通りである。A1-(Cu,Ni)-Co正10角形単準結晶は(1)降伏応力は著しく準結晶の質に依存し、準結晶性の高い試料の降伏応力は低い試料の約2倍である(2)周期方向のすべりも準周期方向のすべりも降伏応力はあまり違わない(3)転位は極めて直線性が良い。A1-Pd-Mn正20面体単準結晶は(1)応力緩和から求めた活性化体積の応力依存性からフェイゾン歪み形成に伴うdragging stressは変形応力の20〜50%である(2)真応力一真歪み曲線は降伏後最大値を経て真歪み約0.5まで加工軟化し、最小値を経て加工硬化に転じる(3)熱活性化解析の結果、最大変形応力と最小変形応力はそれぞれ異なる活性化エンタルピーによって支配されている。以上の結果をもとに以下の変形の微視的モデルを提唱した。(1)準結晶中の転位のすべり応力はフェイゾン歪み形成に必要な非熱的応力とパイエルスボテンシャルを越える熱的応力の和である(2)準周期構造中ではパイエルス・ポテンシャルは準周期的なので、キンク対形成エネルギーには大小がある(3)キンク移動は比較的容易に起こるので、完全順結晶中では塑性変形速度は大きなキンク対形成エネルギーが律速し、多量にフェイゾンを含む準結晶では小さなキンク対エネルギーで律速されるために上記の準結晶の塑性の特徴が生じる。
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