研究課題/領域番号 |
10450237
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
遠藤 忠 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (30176797)
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研究分担者 |
上田 恭太 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (50271862)
滝沢 博胤 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (90226960)
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キーワード | 針状結晶 / イオン導電体 / カリウム / フラックス / スズ / 錫系複酸化物 / ホーランダイト / マイクロポーラスマテリアル |
研究概要 |
本研究は結晶構造内に空洞や細孔(層状)を有し、典型元素の錫(Sn)から構成される新しい複酸化物の創製を目的とした。そして、これまで研究においてホーランダイト型構造を有する化合物、K_2MSn_7O_<16>(M=Ca,Mg)の合成に成功してきた。本年度はこれら化合物における「イオン導電体」への応用を検討した。 はじめに、イオン伝導性あるいは電子伝導性の電気的性質を評価するために、本研究で合成した新規錫系複酸化物についてフラックス法による単結晶の育成を検討した。次に、得られたこれら試料の結晶についてホール係数の測定、誘電率の測定を行い、導電機構について検討した。 以下に、トンネル骨格を構成する中心金属にSn^<4+>とCa^<2+>を含むホーランダイト型化合物K_xCa_<x/2>Sn_<8-x/2>O_<16>(x≦2)の結晶をフラックス法を用いて育成し、さらに、電気的性質を評価した結果を述べる。 (1)Sn^<4+>とCa^<2+>の大きなイオン半径の違いや原子価数の違いにもかかわらず、新たにホーランダイト型構造をもつK_xCa_<x/2>Sn_<8-x/2>O_<16>(x≦2)を合成することができた。X線構造解析の結果、これは単斜晶系に属した。 (2)過剰なK_2CO_3を用いて1.5mm×0.2mm×0.2mmのK_xCa_<x/2>Sn_<8-x/2>O_<16>(x≦2)繊維状結晶からなる凝集体を得ることができた。 (3)繊維状結晶を用いた導電率の測定により、室温での導電率はσ_<300>=2.2×10^<-9>Ω^<-1>・m^<-1>、活性化エネルギーは0.63eVと求まった。これらの値から、空間的に制限されたトンネル内でのK^+によるイオン伝導であると結論することができた。 これらの結果より、ホーランダイト型化合物K_xCa_<x/2>Sn_<8-x/2>O_<16>(x≦2)のイオン導電体材料への応用が期待される。
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