研究概要 |
CaO-Y_2O_3-SiO_2三成分系において、空気中1700Kで合成される三成分系酸化物は、アパタイト型構造Ca_2Y_8Si_6O_<26>、カスピディン型構造のCa_2Y_2Si_2O_9、新規化合物のCa_3Y_2Si_3O_<12>およびCa_3Y_2Si_6O_<18>の4種類であった。 アパタイト型構造を持つ酸化物の単一相は、Ca_2Y_8Si_6O_<26>の化学組成で合成された。この相は六方晶系で、格子定数はa=b=0.9341(1),c=0.6788(1)nmであった。従来アパタイト型構造化合物として報告のあったCa_3Y_6Si_6O_<24>組成物はアパタイト相(Ca_2Y_8Si_6O_<26>)とCaSiO_3の2相となり、Ca_4Y_6Si_6O_<25>組成物では、アパタイト相(Ca_2Y_8Si_6O_<26>)とCa_3Y_2Si_3O_<12>の2相となった。Ca_2Y_2Si_2O_9は、単斜晶系〔a=0.74468(3),b=1.049240(3),c=1.09661(4)nm,β=110.170(3)゚〕のカスピディン型構造を有する酸化物であることが確認された。 本研究で新たに見出されたCa_3Y_2Si_3O_<12>は、シリコカルノタイト型構造を持つことが判明した。斜方晶系で、格子定数はa=6.5574(2),b=1.56066(3),c=1.00399(2)nmで空間群はPnmaであった。本研究で初めて合成されたCa_3Y_2Si_3O_<12>の化学組成はケイ酸塩ガーネットと同じであるが、Y^<3+>イオンのイオン半径が大きく、立方晶ガーネット型ではなく、斜方晶シリコカルノタイト型に歪んだものと考えられる。一方、本研究で初めて合成に成功したCa_3Y_2Si_6O_<18>は単斜晶系〔a:1.33422(5),b:0.77320(3),c=1.47959(6)nm,β=90.263(3)°〕で、空間群はC2/cであった。本酸化物の結晶構造の特徴は、ケイ酸塩では比較的珍しいSiO_4の三員環からなることが明らかになった。
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