研究概要 |
CaO-Y_2O_3-SiO_2系において新しいケイ酸塩化合物Ca_3Y_2Si_6O_<18>を見出し、単結晶X線回折法による結晶構造解析の結果、この構造は単斜晶系、空間群C2/cで、SiO_4四面体は2つの頂点酸素原子を共有してケイ酸では比較的珍しいSi_3O_9三員環を構成して、CaとY原子は三員環の層間に位置していることを明らかにした。本年度は、新しいケイ酸塩化合物でSiO_4四面体が特異な三員環構造を有するCa_3Y_2Si_6O_<18>のYを希土類元素(RE:La〜Lu)で置き換えたCa_3RE_2Si_6O_<18>が合成できるかどうかを明らかにすることを研究目的とし、合成されたCa_3RE_2Si_6O_<18>については粉末X線回折法により格子定数を求め、希土類元素のイオン半径との関係を検討した。 CaCO_3、RE_2O_3(RE:La〜Lu)とSiO_2を出発原料として用い、Ca_3RE_2Si_6O_<18>の組成比に秤量、湿式混合後、空気中1700K〜1950Kで2時間〜72時間焼成し、得られた焼結体を粉砕し、粉末X線回析測定を行った。各試料の粉末X線回析パターンについてプログラムRietanでRietveld解析を行い、格子定数を算出した。初期構造モデルにはCa_3Y_2Si_6O_<18>の原子座標を用いた。種々の焼成条件下で得られた試料についての結果をまとめると、空気中1750Kで2時間焼成して得られた試料では、RE=La,Ce,Pr,Ndは溶融し、それ以外の希土類元素ではCa_3RE_2Si_6O_<18>であった。1750K溶融したRE=La,Ce,Pr,Ndの試料について、1700Kで2時間焼成したところ、RE=Ceだけが溶融し、他の試料はCa_3RE_2Si_6O_<18>であった。本研究では、RE=Ceの合成には成功しなかったが、他のすべての希土類元素については、Ca_3RE_2Si_6O_<18>の合成が可能であった。Ca_3RE_2Si_6O_<18>の格子定数は、a,b,cの各軸の値がRE^<3+>のイオン半径とともに単調に増大したのに対して、β角度は減少する傾向が見られた。今回得られた結果の詳細な検討はRietveld解析を中心とした結晶構造の精密な解析を行う必要がある。
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