研究概要 |
Ca_2Y_2Si_2O_9単結晶の構造解析の結果より、Ca_2Y_2Si_2O_9の結晶構造は斜方晶系、空間群Pnmaであり、単位格子体積はY_4Al_2O_9の約半分で、統計的な原子配置を取ることが判明した。1900Kで固相反応により合成したCa_2Y_2Si_2O_9は単結晶試料の解析結果と同じ結晶構造を有するが、1700Kで合成した試料の粉末X線回折像は、1900Kで合成したものとは異なっていた。本年度は、1700Kと1900Kで固相反応によりCa_2Y_2Si_2O_9を合成し、それらの結晶構造や相転移の詳細な検討を行い、またCa_2Y_2Si_2O_9のYを他の希土類元素(RE)で置換した化合物Ca_2RE_2Si_2O_9の合成も行った。 1900Kで合成したCa_2Y_2Si_2O_9の電子線回折の結果は、単結晶試料の解析結果と同じであったが、指数付けされた回折点の他に、b'/2の周期でディフューズな回折線が観察された。1700Kで焼成した試料では、1900K焼成の試料と同様な電子回折点に加え、ディフューズな回折線があった位置に明瞭な回折点が現れた。これらの回折点は、a=0.745,b=1.049,c=1.097nm,β=110°の単斜晶系で完全に指数付けされた。粉末回折パターンの消滅則より空間群はP2_1/nで、格子定数が近いことからY_4Al_2O_9の関連構造であると考えられた。Y_4Al_2O_9と比較すると、AlがSiに置き換わり、また原点の位置がa軸方向に1/4ほどずれている構造である。空間群がP2_1/cであるY_4Al_2O_9では、2回螺旋軸はc軸上にあり、また滑り方向もC軸方向となっている。これに対して、1700K焼成のCa_2Y_2Si_2O_9は空間群がP2_1/nで、2回螺旋軸は対角線上にあり、滑り方向も対角線方向になっている。すなわち、SiとSiの架橋酸素の占有率は0.5と解析される。1900Kと1700Kで焼成したCa_2Y_2Si_2O_9は、規則相-不規則相の関係にあり、焼成温度に対して可逆的な相転移をすることが判明した。Yを他の希土類元素で置き換えたCa_2RE_2Si_2O_9は、RE=Dy,Ho,Er,Tm,Yb,Luにおいて1900K焼成で高温相の合成に成功したが、相転移についての研究は今後の課題である。
|