研究課題/領域番号 |
10450240
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
若井 史博 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (30293062)
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研究分担者 |
篠田 豊 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助手 (30323843)
赤津 隆 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 講師 (40231807)
安田 榮一 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (70016830)
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キーワード | セル構造 / 粒界運動 / 粒界エネルギー / ナノ結晶 / セラミックス |
研究概要 |
泡、細胞、ナノ結晶セラミックスなど、セル構造の集合体の協調運動による変形に共通する力学的原理を探求することを目的として、ナノ結晶セラミックスの協調運動による形態形成の特徴を調べるとともに、3次元的幾何学モデルをコンピュータ上に構築することを検討し、下記の結果が得られた。 1)モデル材料系 前年度に引き続き平成12年度もジルコニア多結晶体を対象とし、イットリアを固溶しない単斜晶ジルコニアを熱間静水圧成形により完全に緻密化し、モデル材料を作成した。この材料は高温で相転移し、高温試験温度では正方晶ジルコニア多結晶体(TZP)となった。イットリアを固溶した材料(Y-TZP)に比べて、TZPの粒成長速度は極めて速く、粗大化した。TZPは1350℃でみかけの降伏現象を示し、微細粒Y-TZPの超塑性とは異なる挙動を示した。このみかけの降伏現象は、試験片側面付近に生じたキャビティによるもので、熱処理により粗大化したY-TZPでも観察された。 2)粒界ダイナミクスのメゾスコピックシミュレーション 微細粒多結晶体の粒界が形成する3次元ネットワーク構造のトポロジー変化のモードを解析した。曲率に駆動された粒界運動にもとづく決定論的な3次元シミュレーションにより粒成長による組織形成プロセスの素過程を解析した。最隣接粒子数fの増減が面生成スイッチングと面消失スイッチングによるものであり、正常粒成長の定常構造における面数分布は粒子スイッチングと粒子消滅のダイナミクスのバランスで決定されることを示した。 さらに、粒子が不規則に配列した系の超塑性的変形における3次元トポロジー変化を解析した。結晶粒が等軸形状を維持するためには、単位せん断ひずみあたり、一定の面生成スイッチングと面消失スイッチングが必要で、これに満たない場合、アスペクト比が増加することを示した。
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