研究課題/領域番号 |
10450244
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
阿部 弘 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 教授 (10294977)
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研究分担者 |
古賀 和子 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助手 (00315144)
吉田 冬樹 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 講師 (30243968)
中島 英治 九州大学, 大学院・総合理工学研究院, 助教授 (80180280)
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キーワード | 微構造 / 双結晶 / 破壊開始表面エネルギー / 破壊進展表面エネルギー / 4H-SiC / 6H-SiC / Al_2O_3添加SiC / B,C添加SiC |
研究概要 |
セラミックスの結晶構造、界面構造と機械的性質の相関を明らかにし、高機能構造材料の開発指針を提案することを目的として、12年度は以下の研究を行った。 1 特に今年度は結晶学的性質に注目し、異なったプロセスにより組織を制御したSiCにビッカースインデンテイションによる微視的応力を加え、微構造と破壊挙動の関係を研究した。 (1)破壊靭性K_<IC>はAl_2O_3添加焼結SiC(6MPa・m^<l/2>)>B、C添加焼結SiC>単結晶{11^^-00}<112^^-0>>単結晶(0001)<11^^-00>=単結晶(0001)<112^^-0>>単結晶{11^^-00}[0001](2MPa・m^<l/2>)の順である。 (2)焼結体の破壊靭性は単結晶より高く、粒界が靭性向上に大きな役割を果たす。単結晶においては4H-SiCと6H-SiCの結晶形による差は少なく、結晶方位による差(壁開面の影響)が顕著である。Al_2O_3添加焼結SiCは板状結晶が発達し、この粒界で亀裂が屈曲すること等により高い靭性を得る。粒界の結合が比較的強固なB、C添加SiCでは粒内破壊を起すが、この際、亀裂は壁開面を選択して進む傾向があるためわずかな屈局をともない、単結晶より高い靭性を示す。 (3)微構造と機械的性質の関係を一義的に評価することは出来ない。高い破壊靭性を持つSiCほど圧痕部の損傷が大きい。Al_2O_3においても同じ傾向が認められた。 2 双結晶による評価および材料設計への提言 双結晶モデルとして、2〜3mmの単結晶6H-SiCで構成される気相成長SiCを試料として検討を行った。粒界をはさむ各結晶間には方位により、亀裂の発生や進展挙動に差があることに加え、エッチング時の挙動や研磨傷発生に対する抵抗性に顕著な差が認められる。材料設計においては、1)材料特性の面からは、結晶および粒界の性質を出来るだけ定量的に把握すること、2)使用環境の面からは、曲げ試験等により発生する巨視的応力下での挙動、研磨や微粒子衝突時に発生する局所の微視的応力下での挙動等、求める性質を明確にした微構造制御が必要と考えられる。
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