研究概要 |
本研究では、有機-無機メソ複合体の鋳型成分を高分子あるいはカルボン酸イオンと交換しメソ多孔体を誘導する多孔質化プロセスの開発および有機成分を鋳型とする新規メソ複合体・多孔体あるいは超微粒子の合成を目的として、以下の研究成果を得た。 1)酸化アルミニウム/ドデシル硫酸(DS)メソ複合体を種々のカルボン酸イオンと反応させ、交換反応の鎖長依存性を明らかにし、特にDSイオンに相当する長鎖分子イオンが300℃までの構造保持と熱安定化に寄与することを見い出した。酸素HIP処理による高温安定化をさらに検討中である。 2)ランタノイド元素Eu〜Luの酸化物/DSメソ複合体を合成し、鋳型イオンを酢酸イオンと交換することにより比表面積300m^2g-^<-1>のヘキサゴナル型メソ多孔体を得た。同物質は常磁性で、低温で磁気異常を示す。これら希土類系メソ多孔体・複合体は、メソ構造に基づく特異的な光学的、光化学的あるいは触媒的機能をもつことが期待され、その解明は今後の課題である。 3)アルキル-α-アミノ酸C_nH_<2n+1>CH(NH_2)COOH(n=0,2,3,4,6)の共存下でリン酸カルシウムを結晶化させ、長鎖長アミノ酸(n=6)はリン酸八カルシウム(OCP)と複合体を形成し、短鎖長アミノ酸(n≦4)はOCP構造の安定化剤として作用すること、ならびにn=4のエナンチオマーは表面吸着分子間の立体障害を起因する積層欠陥を生成することを見い出した。さらに、塩基性α-アミノ酸は水酸アパタイトの安定化剤として作用し、アパラギン酸はOCPとのリン酸欠損型複合体を生成することを明らかにした。 4)界面活性剤ノナオキシエチレンドデシルエーテル(C_<12>EO_9)を鋳型として調製したAgNO_3/C_<12>EO_9/希硝酸系液晶に還元剤を作用させ、Agの超微粒子集合体と0.8〜100μmの樹脂状結晶を合成した。
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