研究課題/領域番号 |
10450249
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
田邊 靖博 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 助教授 (70163607)
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研究分担者 |
若井 史博 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (30293062)
赤津 隆 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 講師 (40231807)
安田 榮一 東京工業大学, 応用セラミックス研究所, 教授 (70016830)
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キーワード | セラミックス / 複合材料 / 破壊エネルギー / シャルピー衝撃試験 / 動的亀裂進展 |
研究概要 |
昨年度来のC/C複合材料に加えて本年度はSiC繊維強化SiC複合材料(SiC/SiC)を取り上げ、S/W(試験片の幅に対するスパンの比)が破壊エネルギーに及ぼす影響をシャルピー衝撃試験と静的3点曲げ試験で比較した。シャルピー衝撃試験ではS/W=13より大きい領域では破壊エネルギーはほぼ一定であるが、それより小さい領域ではS/Wが小さくなる程破壊エネルギーは増加した。この境界は最大荷重から算出した引張り強度及び層間剪断強度とS/Wとの関係において、それらが切り替わる境界(シャルピー衝撃試験ではS/W=13、静的3点曲げ試験ではS/W=8.7)とほぼ一致した。このことから層間破壊が支配的になることよって破壊エネルギーが増加すると推察される。S/Wの小さいシャルピー衝撃試験片では破面近傍で試験片厚さが層間方向に若干膨らんでおり、その膨らみはS/Wが小さい程大きくなる傾向がある。このことから層間の破壊モードは剪断より剥離である可能性が高い。一方、静的3点曲げ試験の破壊エネルギーはシャルピー衝撃試験の結果とほぼ一致した。このことから少なくともS/Wの大きい領域では本研究の負荷速度範囲で破壊エネルギーに顕著な差が見られないことが分った。静的3点曲げ試験試験片でも層間での破壊が顕著であり、シャルピー衝撃試験での破壊モードとは若干異なるものの、破壊エネルギーに大きな差が見られないことから、どちらの場合も破壊エネルギーに及ぼす層間破壊の影響が大きいことが推察された。SiC/SiCの曲げ破壊試験では負荷速度に依らず幾つかの破壊モードが混在し、それぞれの破壊モードの寄与がS/W値によって変化することが考えられ、一意的な破壊エネルギーの評価は困難である。しかし、その材料の破壊エネルギーを過大評価しないためにはS/Wの比較的大きい条件での曲げ破壊試験が望ましいことが示唆された。
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