研究課題/領域番号 |
10450251
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
井口 泰孝 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (90005413)
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研究分担者 |
飯久保 知人 大同特殊鋼(株), 技術開発研究所, 特殊鋼研究部長(研究職)
半田 康延 東北大学, 未来科学技術共同研究センター, 教授 (00111790)
星宮 望 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (50005394)
成島 尚之 東北大学, 大学院・工学研究科, 助教授 (20198394)
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キーワード | 機能的電気刺激 / FES / 電極 / 生体材料 / インプラント材料 / ステンレス鋼 / 機能再建 / 疲労特性 |
研究概要 |
目的:現在、麻痺した四肢の筋肉を電気的刺激によって駆動する技術である機能的電気刺激(FES)としては、体外に制御装置を配置し、皮膚を貫通して電極を刺入する経皮的埋込法が主流である。しかし、この方式では刺入部からの細菌感染や外観上の問題があり、刺激装置を含めて完全に体内に埋め込む方式が期待されている。しかし、完全体内埋込法では電極線の寿命と信頼性に対する要求はより高度なものとなる。本研究では従来から経皮的埋込用電極として使用されているSUS316Lと、コバルト・クロム基合金NAS604PH、さらに高窒素高マンガンステンレス鋼NAS106Nで作成したFES用電極の大気中及び生理的食塩水中での疲労特性を調べた。 実験方法:SUS316L、NAS604PH、NAS106Nの各合金で作成した19本撚線(素線径25μm)を回転曲げ疲労試験機に取り付け、大気中ならびに37℃に保持した生理的食塩水中で疲労試験を行った。印可する応力は、曲げ直径を変化させることにより制御した。また、試験後に走査型電子顕微鏡を用いて試料を観察した。 結果:生理的食塩水中での曲げ疲労試験の結果より、高応力条件下ではNAS106Nが、低応力条件下ではNAS604PHが最も長い寿命を示す事がわかった。また、生理的食塩水中の試験ではいずれの材料も大気中に比べて少ない繰り返し数で破断した。SEMによる観察の結果、生理的食塩水中で試験後の試料において素線同士の接触面の磨耗が認められたことから、擦過腐食による摩耗が繰り返し数の低下に影響したものと考えられる。
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