セラミックと金属の接合で古くから広く工業的に使用されている方法として、テレフンケン法、活性金属法、酸化物ソルダ法などがある。金属の硫化物に酸素が溶け込んだオキシサルファイド融体はセラミック表面を良く濡らし、セラミック表面に広がることが分かり、この現象を利用してセラミック表面に均一な金属膜を形成する条件を明らかにした。研究の初期に、セラミック表面を鉄系のオキシサルファィドで覆い、それを水素還元して金属膜にしたが、この場合セラミックと金属膜の密着性があまり良くなかった。そのため、まずセラミック表面をCaO-Fe203系の融体膜を形成し、その表面にオキシサルファイド膜を造り、それを水素還元することによりセラミックと密着性の良い金属膜を造ることができた。下地のCaO-Fe203系の融体膜は、大気下で1200ないし1250℃で作成し、その表面にオキシサルファイドの粉末を塗布し、窒素気流中で950℃、30分加熱しオキシサルファイド膜を造った後、水素ガスを流し金属膜に還元する。オキシサルファイド膜の厚さは、粉末の塗布量と加熱温度に支配されるが、加熱温度を上げると膜厚は薄くなる。水素による還元温度が高すぎると金属膜に気泡が残留するので、初め900℃で3時間程度予備還元した後、1000℃で8時間程度還元すると良好な膜が形成される。 これまでの方法では、モリブデン、チタン、あるいは貴金属等の高価な金属を必要としたが、この方法は比較的安価な鉄、ニッケル、`銅あるいはそれらの合金で金属膜を造ることができる。またオキシサルファィドの融体がセラミック表面を良く濡らすことから、形状が複雑に入り組んだセラミック表面にも比較的均一の厚さの金属膜を造ることができた。
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