研究課題/領域番号 |
10450274
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研究機関 | 広島大学 |
研究代表者 |
柳沢 平 広島大学, 工学部, 教授 (50034393)
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研究分担者 |
松木 一弘 広島大学, 工学部, 助手 (30253115)
畑山 東明 広島大学, 工学部, 助教授 (50112181)
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キーワード | 放電焼結圧延 / 急冷凝固粉末 / アルミニウム合金 |
研究概要 |
アルミニウム系材料は、酸化しやすく焼結温度範囲が狭いため、難焼結材の一つである。そこで、粉末表面の酸化物の絶縁破壊を促進し、低温短時間処理の可能な放電焼結と粉末圧延の複合加工である放電焼結圧延法を高強度Al合金粉末の成形・焼結に適用した。粉未として7075急冷凝固粉を用いることで、一部液相焼結となったとしても焼結後、急冷により受け入れ状態の過飽和固溶体になり、放電焼結の利点を生かすことができる。得られた結果を以下に示す。 1.焼結プロセスにおける測温は、放射温度計を用いるので板材の表面温度の測定しかできない。ダイプレス式の放電焼結機を使って黒鉛パンチと材料の温度を熱電対により計測し、実際の温度と放射温度計から得られた表面温度の関係を求めた。また、圧延材中に熱電対を埋め込み、黒鉛ロール通過前後の材料の温度履歴を明らかにした。 2.焼結の保持温度、時間、冷却方法等のプロセス因子をダイプレス方式の放電焼結機にて種々変化させ、組織の変化を透過型電子顕微鏡およびx線回折により調べた。焼結保持温度および時間の増加とともに主合金元素の固溶量は大きくなり、後処理としての均質化、溶体化処理の工程を省くことができる。最高焼結温度に保持後、迅速に冷却するほど、室温においても非平衡相が温存される。 3.焼結温度873Kで10secおよび1200sec間焼結した材料の機械的特性を評価した。時効硬化挙動は同様であり、硬化量も同程度であった。一方、室温における引張破断伸び量は、873Kにおいて1200sec間保持することで、溶体化処理材のそれと同ていどになった。破断伸び量で以って、焼結状態を推定してみると、相対密度は同程度でも長時間焼結したものの方が、焼結が良く進行している。従って、長時間焼結したものの方が、主合金元素の固溶量が大きい上、焼結が良く進行しているために、引張破断伸び量が上昇したと結論づけられる。 4.自作した凝固解析コンピュータソフト、を放電焼結解析用に改造し、電流-電圧解析・発熱過程も含めた熱解析ができるようになった。
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