研究課題/領域番号 |
10450275
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研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
西田 稔 愛媛大学, 工学部, 助教授 (60036374)
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研究分担者 |
水口 勝志 愛媛大学, 工学部, 助手 (70108405)
荒木 孝雄 愛媛大学, 工学部, 教授 (70029312)
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キーワード | 複合ワイヤー / CO_2レーザ / TiAl金属間化合物 / 気孔率 / 溶射 / 減圧チャンバー / 気孔率の低減 / 摩耗性の向上 |
研究概要 |
溶射熱源には、出力1.3kWのCO_2レーザ発振器を用いた。発振されたレーザ光をZnSeレンズでビーム径0.2mmに集光した。溶射皮膜は、集光位置に直径0.3mmのチタンとアルミニウムをより線にした0.9mmの複合ワイヤーを連続的に供給し、複合ワイヤーを溶融・反応させると同時にアルゴンガスを吹き付け、スプレー化した溶融粒子を基材アルミニウム上に400μm積層させることによって作製した。基材アルミニウムを400℃程度の予熱するこよによって皮膜は、外観上割れおよび基材界面での剥離もなく健全な皮膜にすることが可能であった。皮膜のX線回折結果より、皮膜はTiAl金属間化合物主体に、微量のTi_3Al金属間化合物から構成されていることが明らかとなった。しかし、皮膜断面の顕微鏡観察の結果、気孔および溶射粒子内に存在する割れなどの欠陥率は、溶射距離、ガス圧力およびワイヤー送給速度など溶射条件によって8%から20%まで大きく変化することが明らかとなった。このよに欠陥率が異なることについて、この因子を複合ワイヤーの溶融、反応過程および粒子の飛行過程に分けて、組織、組成分析、構造解析を現在を行っている。また、新規購入した減圧チャンバー内で溶射を実施すると、気孔率が40%程度低下した。これは、高温の溶射粒子が基材に衝突し冷却するまで大気との接触がなく、皮膜表面が活性のまま、次の溶射粒子が積層されるためであり、減圧チャンバーの有効性が確認できた。皮膜の耐摩耗性については大越式面摩耗試験で評価すると、基材に用いたアルミニウムに比べ10倍程度向上し、軟鋼程度の摩耗量になることも明らかとなった。しかし、摩耗面の観察より、摩耗形態が、相手材S45Cの研削摩耗形以外に溶射粒子間の脱落も見られたことから脱落摩耗形も存在していた。今後粒子間の接合強度を測定し、摩耗との関連性を検討する。
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