研究課題/領域番号 |
10450276
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研究種目 |
基盤研究(B)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
金属生産工学
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
谷口 尚司 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00111253)
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研究分担者 |
松本 克才 東北大学, 大学院・工学研究科, 助手 (70190519)
菊池 淳 東北大学, 大学院・工学研究科, 教授 (00005307)
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研究期間 (年度) |
1998 – 1999
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キーワード | 介在物 / 凝集 / 乱流 / Hamaker定数 / ファンデルワールス力 / 清浄鋼 |
研究概要 |
高清浄金属素材を得るために必要な介在物の凝集機構の解明は十分達成されていない。これまでの介在物凝集の研究では、粒子間衝突における流体力学的側面のみが重視され、凝集に必要な粒子間引力(ファンデルワールス力)に関する研究が全く行われていなかった。本研究では、溶融金属中介在物粒子の乱流凝集に及ぼす粒子間引力の影響を明らかにするために、以下のような研究を行った。 1.水溶液中のPSL粒子の凝集実験:粒径が均一なポリスチレン・ラテックス粒子(PSL粒子)の水中での凝集曲線に粒子間引力を考慮した凝集理論を当てはめて、粒子間引力の定数であるHamaker定数を得た。その値は理論値と一致した。また、広範な粒子径分布の時間変化を予測できるグルーピングモデルを開発した。 2.水溶液中のSiC粒子の凝集実験:模擬介在物としてSiC粒子を用い、乱流凝集実験を行った。SiC粒子の場合には、凝集粒子の再分散が起きることが明らかとなり、これを考慮した凝集モデルを構築した。これによって得たHamaker定数が理論値とほぼ一致した。 3.溶融Al中のSiC粒子の凝集実験:溶融Al中にSiC粒子を超音波分散する装置を開発した。本装置により、SiC粒子を分散した融液を得ることができた。この融液の乱流攪拌により粒子凝集を確認できたが、再現性の問題等により定量的な解析には至らなかった。一方、高周波誘導攪拌下でのSiC粒子挙動を調べた結果、SiC粒子の電磁力による分離現象を見出した。粒径23μmと13μmの2種の粒子についてこの現象を調べた結果、前者の粒子は凝集を起こす前に電磁分離され、後者の粒子は凝集後に電磁分離されることを確認した。 以上、本研究では介在物粒子の乱流凝集に対する粒子間相互作用力の重要性を明らかにするとともに、溶融金属中介在物の凝集機構の解明への方策を示した。
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