研究概要 |
溶銅を反応媒体として用い,亜鉛硫化精鉱との反応によって直接的に金属亜鉛を採取する「二酸化炭素を全く排出しない亜鉛生産プロセル」に関して,基礎データとして重要な硫化亜鉛-硫化銅をベースとする混合硫化物系の状態図を1473Kの温度で作製した。この結果,硫化亜鉛-硫化銅-硫化鉛系では,融体中への硫化亜鉛の溶解度が10%以下とかなり小さく,本プロセスにおいて鉱石中の硫化亜鉛を効率的に溶解するためには,かなり多量の硫化銅を熱媒体として用いる必要があることが分った。また,測定された状態図に基づいて混合硫化物融体中の硫化亜鉛の活量係数を導出し,6.7〜16の非常に大きな値となることを明らかにした。これらの活量係数値を用いて算出した亜鉛の平衡蒸気圧は0.1気圧前後とかなり大きく,本プロセスにより亜鉛を効率的に採取する可能性が示された。一方,硫化鉛と溶銅との反応により示される鉛蒸気圧はかなり小さく,鉛の収率を高めるために本プロセスの改良が必要であることが窺われた。
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