研究概要 |
1873Kで溶融したFe-10%Ni合金に所定量のFe-50%M合金(Al,Zr,Ce)またはNi-Mg合金を添加し,直ちに撹拌して脱酸生成物を懸濁させた。これに所定量のFe-50%Ti合金を添加して撹拌し,1400℃まで冷却してからその温度に所定時間保持してTiNを析出させ,水中急冷した。得られたメタル試料を切断し,断面を鏡面研磨した。光学顕微鏡およびX線マイクロアナライザーにより研磨面に存在するTiNまたはTiN+M_xO_y(M_xO_y=Al_2O_3,ZrO_2,Ce_2O_3,MgO)介在物の個数および大きさを調べ,メタル中のTiおよびNの初期濃度,1400℃における保持時間との相関を求めた。その結果,TiN+MgO介在物の個数はTiN+M_xO_y(M_xO_y=Al_2O_3,ZrO_2,Ce_2O_3)介在物のそれより著しく多く,またその粒径は冷却条件に依らず小さかった。Fe-10%Ni合金のデンドライト組織の部分に存在するTiNおよびTiN+M_xO_y(M_xO_y=Al_2O_3,ZrO_2,Ce_2O_3)介在物は,非デンドライト組織部と比べて,数は多く,粒径は小さかった。1400℃における保持時間が長くなってもTiNおよびTiN+M_xO_y(M_xO_y=Al_2O_3,ZrO_2,Ce_2O_3)介在物の粒径は変化しなかったが,介在物の個数は僅かに増加する傾向を示した。 Fe-10%Ni合金にFe-50%Ti合金のみを添加した実験で得られた試料の場合も,Fe-10%Ni合金のデンドライト組織中のTiN介在物数は,非デンドライト組織におけるより著しく多かった。いずれの組織においても,Fe-10%Ni合金の固相率の上昇にともなって介在物個数は増加し,また,1400℃での保持時間と共に介在物数は増加した。
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