研究概要 |
70Ga_2S_3-(30 - x)La_2S_<3-x> La_2O_3ガラスの等温熱処理を行い、その結晶化過程を調査した。La_2O_3の含有量が比較的少ないx<5mol%で結晶相としてGa_4La_2S_9が表面から優先的に生成するのに対し、La_2O_3の含有量がx > 5 mol%ではGa_6La_<10/3>S_<14-x>O_xが内部から均一に生成することが認められた。特に70Ga_2S_3-30La_2O_3モル組成の混合アニオンガラスでは、Ga_6La_<10/3>S_<14-x>O_x相が内部から1μm以下の微細な針状結晶の形態で析出するため、等温熱処理条件を変化させ、析出する微結晶のサイズと量の制御を行った。結晶サイズは幅0.1〜0.5μm、長さ0.5〜3μmで制御可能であり、この範囲内であれば巨視的には透明の、いわゆる透明ガラスセラミックスを作製することができた。結晶化初期過程での原子間力顕微鏡(AFM)観察によれば、微結晶の生成前の過程において混合アニオンガラス中で分相の発達が示唆された。調製した透明ガラスセラミックスは、可視光域の500〜700nmで透過率30〜60%を有し母ガラスの透過率40〜70%に比べて劣るものの、2〜6μmの赤外域では母ガラスと同等の70%以上の透過率を持っている。Yb^<3+>及びNd^<3+>の希土類イオンを含有するGa_2S_3-La_2O_3系混合アニオンガラスの等温熱処理により、Ga_6La_<10/3>S_<14-x>O_x微結晶を析出させた透明ガラスセラミックスを作製した。析出したGa_6La_<10/3>S_<14-x>O_x微結晶はGaO-Al_2O_3-SiO_2系のGa_2Al_2SiO_7相と類似のメリライト族ケイ酸塩構造を有する。Nd^<3+>イオンの発光スペクトルは、過去に報告されているNd^<3+>含有Ga_2Al_2SiO_7 のものと類似しており、本研究で取り扱った透明ガラスセラミックス中に、Nd^<3+>イオンを含むGa_6(Nd,La)_<10/3>S_<14-x>O_x微結晶が析出していることを指示する結果であった。
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