研究概要 |
発泡樹脂の製造において、窒素や二酸化炭素は従来のフロンに替わる環境調和型の発泡剤として注目されている。本研究では、ポリマー中のガスの溶解度,拡散係数,粘度などの基礎物性の測定を行い、ポリマー+ガス混合物の物性を評価した上で様々なポリマーに対してプロセスの操作条件と発泡材料のセル構造との関係を検討した。 1. ポリマー+高圧ガス系の溶解度,拡散係数,粘度の測定(佐藤・滝嶌) 既存の磁気浮遊式天秤を用いて汎用ポリマーと窒素及び二酸化炭素の系に対して溶解度と拡散係数を広い温度・圧力の範囲で測定した。測定結果を基にこれらの物性値の温度及び圧力(濃度)依存性を検討し、融解やガラス転移などのポリマーの状態変化に対するガスの影響を評価した。また、粘度の測定装置は現在製作中である。 2. ポリマー+高圧ガス混合物の物性値の推算(舛岡・滝嶌) 密度と溶解度に関しては空孔理論に基づく状態方程式による相関を行い、温度,圧力,ガス濃度及び自由エネルギーの関係を定量化した。また、拡散係数に関しては自由体積理論を用いた推算法を用い、固体及び液体の各状態のポリマーに対して温度及びガス濃度との関係を表現できた。 3. 発泡ポリマーの製造,セル形態の解析,及び操作条件の影響の検討(滝嶌) 1の検討で用いたポリマー+高圧ガス系に対して、幅広い温度・圧力の条件下でバッチ法による発泡ポリマーの製造実験を行った。備品で計上した走査型電子顕微鏡を用いて発泡後の試料のセル構造(平均径,数密度,発泡倍率)を解析し、操作条件とセル構造の関係を明らかにした。
|